魚は性転換できる
実は魚は限られた種類のみですが、性転換できるものがいるのです。
人間やほかの生物にとっても、生まれた時の性というものは絶対的なものです。違和感を感じている方も多くいるのですが、まだまだ昨今の人間社会では敷居が高く、かつ医学的に完全なる性転換というものは不可能な状態です。
ところが、なかなか厳しい人間社会とは正反対に魚社会では容易に性転換できるのです。
どんな種類の魚が可能か
性転換できるといっても、制限があり、その制限は3種類存在します。
●オスからメスに変化できる(雄性先熟)
マハタ、キュウセン、キンギョハタダイ など
●メスからオスに変化できる(雌性先熟)
クマノミ、クロダイ など
●雌雄どちらにも転換可能(双方向性転換)
ダルマハゼ、アカハラヤッコ、オキナワベニハゼ など
代表例を挙げましたが、全体では約400種類ほどの魚が可能です。
なぜ性転換するのか
ではなぜ性転換するのでしょうか。
研究によりますとクマノミ(メスからオス型)は生まれた時は全ての個体がメスということが分かっています。
クマノミの場合は、性転換で一部の個体がオスになることで、有性生殖で子孫を残せるということです。
また、ブルーヘッドという熱帯魚の場合もあります。
通常はメス大勢とオス1匹の群れで過ごすことが多いこの種ですが、オスがいなくなるとその場にいる1番大きなメスの個体がオス化します。
ここまでにかかる時間はおよそ10日ほど(ブルーヘッドの場合)
これはオスが群れを守り役割をしているために、オスがいなくなった場合にオスを補う必用があるためです。
どのような場合でも、最終的には子孫を残すということを重視しています。
オスがいないのでオス化する、というのが簡潔な表現になります。
性転換する仕組みは何か
性転換する仕組みはどうなっているのか。いくつかあるようですので解説します。
先述したように、要はオスがいなければ空気をよんで一部の個体が社会のためにオス化します。
この時に関係するのが、ホルモンです。
メスからオス化する場合、脳下垂体から分泌されるホルモンがメスの生殖機能を促進させるものからオスの生殖腺を機能させるホルモンに変化します。
これにより、卵巣は収縮し、精巣が発達し、ついにはオス化していきます。
逆の場合も然りです。
このホルモンに影響を与える外的要因はストレスです。
魚社会では簡単にストレスによって転換してしまうようです。
脳から生殖腺へ
この流れがとても重要です。
もしかしたら
ブルーヘッドのメスからオス化する現象を解明したのち、マウスでも可能かどうかを研究、確認したようです。
その結果条件はあるようですが、可能らしいです。非常に難しい問題のため、断定は避けさせていただきます。
外部関連リンク:マウスにおける性転換のエピジェネティックな制御
性転換研究は、転換に関することのみではなく、生命の性決定のメカニズム、生命のより詳細な生殖メカニズムの解明など、多くの生物学の研究に貢献することができる項目でもあります。
実用化されるのが数十年後は無理でも100年、200年したら、もしかしたら人間も生まれた後に自分の意思で自由に性を変えることができるようになるかもしれません。